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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】『ウクライナのピアノ作品集』CD発売記念コンサート:CDが出ます【2023年1月15日(日)】

更新日:2022年12月24日


 個人的には、自主企画の巨大なコンサート2本、『架空庭園への道』と『彼方からの愛の歌』が今月内にまだ控えているため、2022年が終わるという空気が一向に感じられないままでいるのですが、それはそうと、来る2023年に催されるコンサートの告知宣伝もぼちぼちと始めていきたいと思います。


 この記事では2023年に僕が最初に出演するコンサートの告知をさせてください。




2023年1月15日(日)

13:45開場 14:00開演


及川音楽事務所

『ウクライナのピアノ作品集』

発売記念コンサート


会場

タカギクラヴィア松濤サロン

(渋谷駅または神泉駅より徒歩)


入場料

2,000円


出演

伊集院紀子

佐々木理之

榎本智史


曲目

リセンコ

《ドリア旋法のエスキース》

《3つのエスキース》

《不安》

《1902年の夏のアルバム》

コセンコ

《3つのピアノ小品》Op.9より

グリエール

《3つの小品》Op.21

ボルトキエヴィチ

《4つの小品》Op.65より


予約申込

または当HPのCONTACTより


 榎本が演奏するのは、チャイコフスキーとも交流があったウクライナ国民楽派の作曲家リセンコの、1900年前後に書かれたピアノ小品群です。メロディを濃厚に歌う書法はロマン派の他の作曲家たちにも通じつつ、そのメロディを形成する旋法や半音階、増音程などが独特の憂いを生み出します。


 

 そして、当コンサートに出演するピアニスト、伊集院紀子、佐々木理之、榎本智史の3名が演奏したCD『ウクライナのピアノ作品集』が2022年12月21日に一般発売となります。僕としては初めて世に出るCD音源です。



価格

2,750円(消費税込)


 一般に流通するものは上記の値段ですが、榎本からコンサート会場で買っていただいた場合は値引きして販売します。ちゃんと収益が貯まったらウクライナの復興にも寄付する余裕が出てくるかな、などとも思いますが。


 発売前ながら、既に僕の手元には商品が届いております。今後コンサートがある度に会場でも販売しますので、どうぞよろしくお願いします。



 

 今なお、ロシアの侵攻から始まったウクライナの防衛戦争は続いています。いずれの国も消耗しており、もはやクレムリンが倒れ、その支持者たちが止まらない限りは戦争は終わらないような気さえしています。極寒の冬がやってきて、きっとまた犠牲は増えていくでしょう。


 ウクライナの支援のために疲弊し始める国も出てきましたし、恐らく侵攻が始まった時ほど日常の話題にこの戦争は上らなくなってきたかもしれません。僕の周囲では地元町内会の懐をこの戦争が直撃したため、むしろ末代まで語り継がれる勢いで常に話題に上がっているのですけれども。


 暴力が世界を変えることを許容するという最もおぞましい結果に繋がるのは、この戦争にまつわる周囲の国々の関心が失われることです。直接的に武力を提供できなくとも、「関心を保つ」ということだけでも此度のロシアによる侵攻に抵抗する手段として意義があるはずです。


 ところでロシアは、この戦争において占領下においた地域を次々にロシア化しようとしていると聞きます。それは領土を奪うだけではありません。ウクライナの文明を破壊し、ロシアの文明で塗り潰そうとするのです。学校の教科書をロシアのものに変え、それまで博物館や美術館、図書館などにあったウクライナの資料を集めて焚書するということも起きているようです。教会さえも爆撃され、そこに避難していた多くの人々が犠牲になりました。


 ヨーロッパのいくつかの国々では、ロシア音楽を遠ざける動きがあります。それは制裁という意味だけではなく、迂闊に演奏することによってロシアのプロパガンダに利用されるからという面もあるのかもしれません。僕もそのような苦い体験を先日しました(ラフマニノフを弾いたら「ロシアを応援してくれるんだね!」と親ロシア派に言われた)。


 しかしそれでも、僕にとってはラフマニノフもムソルグスキーもボロディンもストラヴィンスキーも大事な作曲家ですし、ロシアの作曲家をボイコットするという選択肢は決して好ましいものではありません。ならば逆に、ウクライナの作曲家たちを取り上げること…ロシアが潰そうとしている音楽を広く知らしめ、潰せないようにすることが、金銭の寄付の他に僕が音楽家としてできるこの侵略に対する抵抗運動になると思いました。


 この戦争無くしてウクライナの音楽に僕自身が興味を持ったかどうかと言われれば、確かにここまで早くは興味を持たなかったかもしれません。ムソルグスキーの《展覧会の絵》の終曲の大門があるキーウが現在のウクライナの首都だということだけをわかっていた程度のものです。あとは元々好んでいるオーンスタインやモソロフ、ゴリシフなどがそれぞれアメリカやソ連で活動した現ウクライナ出身の作曲家であったという話にそのうち辿り着いたであろうことくらいでしょうか。


 たとえ僕が戦争に便乗して売名をしたと受け止められようが、あなたがウクライナの音楽に関心を持ったならば、それだけで僕の目的は達成されます。音楽が人々の生活の中にいようとする時、その音楽は人々の生活や政治からの影響を免れないとも考えていますし、冷笑しながら無視するよりはマシと思ったのであります。


 …などと強そうなことを書きつつも、この演奏会の告知やCDの宣伝がうっかり過激なクレムリン支持者の目に留まって変な気を起こされないようにするため、日々怖そうな人をブロックしてまわっていたら告知がここまで遅くなってしまいました。音楽は暴力には勝てないからね。


 新年一発目からいきなり反応に困る内容かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。



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