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  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】榎本智史ピアノリサイタル『十二音の色彩 シェーンベルク生誕150年によせて』【2024.10.19】

更新日:8月1日


2024年10月19日(土)

13:30開場 14:00開演

16:00終演予定


榎本智史ピアノリサイタル

十二音の色彩

~シェーンベルク生誕150年によせて~


会場

武蔵小杉サロンホール

神奈川県川崎市中原区小杉町2-276-1

パークシティ武蔵小杉ザガーデン

タワーズイースト2階

昭和音楽大学附属音楽・バレエ教室武蔵小杉校内

JR南武線「武蔵小杉」駅北口より徒歩4分


入場料

一般 3,000円

学生 2,000円(学生証の提示をお願いします)

定員60席


ピアノ・解説

榎本智史


曲目

シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11

シェーンベルク《6つのピアノ小品》Op.19

シェーンベルク《5つのピアノ曲》Op.23よりワルツ

シェーンベルク《ピアノのための組曲》Op.25

シェーンベルク《ピアノ曲》Op.33a

ベルク《ピアノソナタ》Op.1

ヴェーベルン《子供のための小品》

ヴェーベルン《ピアノのための変奏曲》Op.27

ハウアー《余韻研究》Op.16

ハウアー《1946年のクリスマスの十二音遊戯》


予約申込

メール

または当ホームページCONTACTより送信



 

 今年は作曲家シェーンベルクの生誕150年の記念年にあたります。その節目として、シェーンベルクを中心としたプログラムによるピアノソロリサイタルを行うことにしました。


 ちなみにシェーンベルクが十二音技法(十二音による作曲法)に基づいて《5つのピアノ曲》Op.23のワルツと《ピアノのための組曲》Op.25を書き上げたのが1923年のこと。後者の初演はさらにその翌1924年でしたから、十二音技法としても去年や今年は一区切りの年にあたりますね。所謂 "ゲンダイオンガク" の代名詞である十二音技法も考案されてから100年が経ったわけであります。


 そのようなタイミングにおいて、シェーンベルクらが汎調性に基づいて調性の拡大から十二音音楽へ到達するまでを追うプログラムを実演し、それらの音楽に向き合ってみることは音楽文化の面でも重要であると思います。まあしかしそれは僕が勝手に思っているだけのことでして、皆様には「こういう音楽も面白いと思えてきたかもしれん!」と思えるように工夫しつつ演奏したいと思います。


 

 ところで、今回のプログラムに名前が載っている作曲家についてざっくりと言及しておきたいと思います。一般的なクラシックのコンサートではまだまだ演奏される機会の少ない作曲家たちですし、プロの音楽家たちの大多数からもそこまで興味を持たれていないかもしれませんので…


 今回のプログラムは、シェーンベルクと彼を取り巻く作曲家たちの代表作を取り上げています。


 シェーンベルク(Arnold Schönberg, 1874-1951)はオーストリア出身のほぼ独学の作曲家で、当初は19世紀ロマン派の流れを継ぐ音楽を書いていましたが、じきに従来のような調性を超えて一般に「無調」と呼ばれる音楽に突入し、その書法を整理する形で所謂「十二音技法」…十二音による作曲法に基づいた作曲法を実践しました。後年のナチスの台頭によってアメリカに亡命してからはユダヤ教や政治に傾倒した作品を書いていきます。


 シェーンベルクは優れた教師でもありました。糊口を凌ぐためと本人は言っていますが、様々な作曲家や音楽学者を育てました。中でも特に高弟として名前が挙がるのが、ベルク(Alban Berg, 1885-1935)と ヴェーベルン(Anton Webern, 1883-1945)でしょう。同時期にシェーンベルクに学んだのは事実ですが、二人の作風はしばし対比されます。則ち、19世紀ロマン派のハーモニーやサウンドを色濃く残したベルクと、素材が極端に切り詰められた書法によって戦後前衛音楽に大きな影響を与えたヴェーベルンです。彼らの作品番号付きのピアノ独奏曲はそれぞれ1曲ずつしかなく、それも爛熟したロマン派の極致であるベルク初期の《ピアノソナタ》と、十二音技法の緻密な運用によるヴェーベルン晩年の《ピアノのための変奏曲》という大きな対比があるものとなっています。


 そしてもう一人、シェーンベルク門下ではないもののシェーンベルクらの近くで活動し、シェーンベルクらとは異なる形の十二音による作曲法を考案し、どちらが先に思いついたのか(※異なる目的のための異なる方法をそれぞれに思いついた)を巡って仲違いした一匹狼の作曲家 ハウアー(Josef Matthias, 1883-1959)の作品も取り上げたいと思います。十二音を用いた音楽であることには違いありませんが、ではシェーンベルクらの音楽とはどのように異なるのかを体感していただきたいと思います。


 なお、記事冒頭の概要に書いた曲目は必ず弾きます。これらの曲がプログラムから外れることはありません。ただ、練習が間に合うようであればさらに曲目が追加される可能性はあります。それは当日のお楽しみになります。


 

 これらの作品群を、本当に初めて聴く方々でも楽しんでいただけるように最大限の工夫をして演奏したいと思っています。しかし、このリサイタル以外にも『私的演奏協会』という企画を不定期的に開催しておりまして、そちらでは一つの作品を繰り返しじっくり聴くことができます。そちらにも参加していただいておくと、当リサイタルをより楽しむことができると思いますので、ぜひご来場ください。



 榎本智史個人としましても、10/19のリサイタルは過去最大級・最重量級のプログラムです。見届けに来ていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

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