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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【雑記】直接営業をするのが正直苦手という話


 演奏会をするとなったら、その集客が大きな課題となります。とにかく広範囲に宣伝を行い、できる限り多くの人に来ていただき、会場を埋めることができればそれが最大収益となります。


 今の時代においては、宣伝方法も色々な手段を駆使できるようになりました。必ずしも人力で直接チラシを撒いて歩くばかりではなくなったという点は大きいでしょう。如何せん、僕の場合はコロナ禍によって「人力で撒く」という選択肢を殆ど封じられてしまったということもあって、コミュニケーションツールが対面以外でも存在するということはありがたいものです。


 ただ、やはり「オープンマイクに参加して弾いたついでに宣伝してくる」というやり方を採っていた以前に比べれば集客力は落ちました。実際に生演奏を見せてから宣伝をするというのが最も引力は強いだろうと信じるところであります。



 

 対面で演奏を聴かせたりできない人たちに対してもはたらきかけなければ、例えば大きなホールをきちんと埋められるほどの集客は叶わないでしょう。そんなわけで、ごく一握りの演奏家を除けば、涙ぐましい営業をするのであります。以前…というか、大学院を出てすぐくらいの時は、知り合いに一人一人メッセージやメールなんかを送ってはけんもほろろな結果になったりもしていました。


 そのやり方を悪いとは思っていません。そうやって集客をしている人だってたくさんいます。かのジョン・ケージだって、仕事が無かった時には片っ端から一般家庭を訪問して音楽講座のチケットを売ったと言います。ところが、どうも変なところが気になってしまって、僕はこのやり方に積極的ではなくなってきました。


 まず、僕はかなり人付き合いが悪い方です…というか、殆どの人に対して「0か10か100」みたいな付き合い方をします。さて、そんな普段からやり取りの無い、今何をやって生きているのかも知れない人間から、演奏会のお知らせが届きました。招待でも何でもない、普通のセールスです。


 これ…暫くぶりの知り合いから怪しい勧誘がくるのと似てない…?


 まあ、ここまでの経験でもいくらかあるわけですよ。暫くぶりの知り合いからの宗教勧誘、政党勧誘はありましたし、僕自身はまだ経験していないのですがマルチ商法の話も方々からは聞きます。


 個人同士のメッセージでのやり取りとはいえ、閉じた空間内で演奏会を売るという構図において、自分が怪しい勧誘をしている側に見えてしまって、非常に精神衛生的に悪いと感じるのですよね。これがオープンマイクや、伴奏に行った合唱団などで宣伝をする時には、それは個人を狙い撃ちする閉じた空間でのやり取りではなく集団に向けた開いた空間であるからこそ、このような躊躇が発生しないのでしょう。相手に一対一で「来るの?来ないの?(来いよ)」という圧力をかけ、負担を強いることが少なくて済むということは、僕自身にとっても心地の良いものではあります。


 基本的に、興味があるなら来てくれればいいし、興味がないならスルーしてくれればいいというのが本音ではあるのです。周りの人たちを "興味がある状態" にもっていけるかどうかというのはまた別の工夫のしどころであると思いますし、「直接声をかけられてしまったし、気まずくなるのも嫌だから行ってやるか」などということまで考えてほしくないと思うのです。それはこちらも申し訳ないのです。


 

 そのような申し訳ないことをしないためにも、普段から、開けた場所で、どうにか興味を喚起する方法が無いだろうかと色々試しているわけであります。Instagramに演奏動画を載せたり、Twitterで作品に関するネタを投稿したり、このように音楽関連のブログ記事を更新しているのも、その一環にあたります。普段絡みの殆ど無い人たちが、それらを遠目からでもチェックしてくれていることはわかっておりますので、「どうやら榎本がまた何か妙なものを弾くらしいぞ」などと思って演奏会に足を運んでいただけるように工夫しようと思います。



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