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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【公演告知】『何がすごいの? テンペスト!』:遊び語りプレ公演

更新日:2021年2月13日


 普段の活動報告として度々書いていることですが、演出家の三輪えり花先生が主催するシェイクスピアのレクチャー公演シリーズ『シェイクスピア遊び語り』の第16弾『テンペスト:大嵐』の音楽を担当させていただきます。劇中歌7曲の作曲に加え、背景音楽や効果音なんかもやります。


 『シェイクスピア遊び語りXVI《テンペスト:大嵐》』の公演自体は3月です。その時に新型コロナウィルスが収まっているかどうかはわからず、そちらもオンライン配信できるように準備を進めておりますが、このシリーズの中でもオンライン配信は初めての試みですし、いきなりやってトラブルが起こらないとも限りません。したがってそのトライアルとして小規模なもので配信を試してみようという目的もあってこの前哨戦としての『何がすごいの? テンペスト!』を行うに至ります。



2021年2月21日(日)

17:00開演 18:00終演予定

オンライン生配信


視聴料:1,500円

(今回2月のみの視聴の場合1,500円。録画も観ることができます。3月の本公演とのセット料金もあり。詳しくは下記詳細・予約ページへ)


出演:

三輪えり花、Lutherヒロシ市村、榎本智史


詳細・予約:


 

 Lutherヒロシ市村先生からTwitter経由でお話をいただいたのは2019年の末でした。周囲の声楽家たちの繋がりで“ボイスビルダー”たるLuther先生の存在は認識していましたが、とある誤解に起因してちょっとしたやり取りをするという珍事によって交流を持つことになって2ヶ月後のことです。伴奏だけでなく、歌の作曲とピアノの即興演奏ができたことあたりが、今回の役を頼まれた理由だったと思います。


『シェイクスピア遊び語り』は、演出家の三輪えり花先生が行っているシェイクスピア演劇のレクチャー付き演読公演です。数々の台詞の意味や時代背景、シェイクスピアが仕込んだ小ネタなどについて理解しながら作品を鑑賞することができます。シェイクスピア演劇には登場人物の劇中歌が出てくることもありまして、やはり当時の作曲家たちも音楽を書いていたようです。


 実は当初の本公演は2020年6月の予定でした。しかしお察しの通り新型コロナウィルスの感染状況から、この企画では早い段階で延期を決定しました。『テンペスト』がそもそも登場人物の多い作品ですし、一人で数役をこなす遊び語り方式でも、クラスター感染を起こすリスクは排除しきれないでしょう。3月にまで延ばせばさすがに感染も終息に向かうだろう…などと考えていたには考えていましたが、現実はご覧の通りです。昨年末の時点で公演方法を完全リモートにしようかと再検討したほどです。しかし、既に試行されているような完全リモートの演劇という形式でやるとなると、今度は遊び語りの要素を失ってしまいます。その着地点を考えた結果、映像とリアルを組み合わせた形態の公演となりました。こちらは3月に定員限定の会場観賞(昼夜×2日公演)&オンライン有料配信となります。予約申し込み方法や詳細はLuther先生のホームページをご覧ください。


 個人的な『テンペスト』の思い出があります。ベートーヴェンの《ピアノソナタ第17番》Op.31-2 が『テンペスト』と呼ばれていることを知る人は少なくないでしょう。この曲を理解するために「シェイクスピアの『テンペスト』を読め!」とベートーヴェンが言った…という話を秘書のシンドラーが捏造したために付いてしまった通称でありまして、もちろん僕もそのことはこの曲をはじめて聴いた時に楽曲情報として知っていました。ただ、それはそれとしてシェイクスピアの『テンペスト』という作品が気になったのも正直なところでした。そしてある時、戯曲なんてろくに読んだことがないのに『テンペスト』の文庫本を買い、案の定面白さどころか物語の展開すらよくわからず挫折したのでした。


 そんなことがあったので、演目が『テンペスト』であることをLuther先生から聞いた時に「これは『テンペスト』の理解に再挑戦できる機会だ! しかも関係者として演技をタダで見られるし、研究者のレクチャーまで付いてくる!」などというセコい考えも浮かんで、二つ返事で音楽担当を承諾したのでした。


 そして参加してみた結果、現在進行形で目から鱗です。もちろん稽古をずっと見ているわけですから、じっくりとレクチャーを聴講しているような状況なのですが、自力で文章を読むだけでは到底わからなかったであろうことまで知ることができて、既に労力の元は取っていると言ってもいいくらいです。それほどまでに初心者にも理解しやすい内容となっております。元々シェイクスピアや演劇に興味がある方もさることながら、ぜひ「一度もシェイクスピアを読んことが無い」のような方にも観ていただきたいです。


『テンペスト』はシリアスな場面や各々の思惑の絡み合い、対立がありつつも、最後には解決していく「赦し」の物語です。ここ数年の世界では激しい分断が進み、特に新型コロナウィルス禍はそれを露呈させたように感じます。分断を解消し、互いを赦し、ハッピーエンドを目指せるかどうか。お話をいただいた12月時点では世界がこのように転がるとは思っていませんでしたが、現在の社会や世界に『テンペスト』が思い出させようとしてくるものがあると思います。


 赦しと救いの物語『テンペスト』、どうぞよろしくお願いします。


 

3月の本公演出演者


Luther ヒロシ市村(プロスペロゥ)

一谷真由美(ミランダ、アントニオゥ)

山下裕子(キャリバン、セバスティアン)

草野菜奈(ステファーノゥ、アロンゾゥ)

井上卓也(ファーディナンド、ゴンザーロゥ)

赤江隼平(トリンキュロゥ、水夫長)

大村国博(船長、貴族1、魂)

後藤祥子(船員、貴族2、魂)

佐藤里紗(船員、貴族3、魂)

三輪えり花(エリアル)

榎本智史(作曲・演奏・精霊)

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