top of page
執筆者の写真Satoshi Enomoto

【雑記】謝礼の渡し方:礼儀と利便性とローカルルール

 伴奏やレッスンをした後には謝礼をいただいて音楽家は生活しているわけですが、その渡し方についての話題は定期的に上がるものです。大概の場合は「お金を封筒に入れて渡してこなかった」ということを槍玉に挙げる形だと感じます。


 それがマナーとして認識されている面があることは承知しています。僕自身も自分の師匠には、新札を用意し、綺麗な封筒に入れて渡していました。最初からそれが暗黙のマナーとして認識されていたので、このことに関しては師匠からとやかく言われたことはありませんでした。


 しかし自分が謝礼を受け取る側になった時に(あくまでも僕の場合は)、封筒に入れていないだの何だのということは全く気になりませんでした。それこそ現金手渡しでも構わないくらいでして、「すみません、封筒が用意できなくて…」と言われても「そのままで大丈夫です!」と返答してその場で財布に直接インします(これが相手にどう思われているかはさておき)。お金はきちんと払われているのだし、一体それ以上何を求めようか?という価値観なのです。もちろん渡し方に心遣いがあったならば、きっと僕でも気分は良いことでしょう。だからといって、直接現金を渡されても不快感は感じません。


 ところで、僕は普段の生活でほぼ電子マネーを使っています。最近現金で払ったものはピアノの調律費用です。それ以外は本当に電子マネーでばかり払っていて、自分の財布に入っている金額を把握していないことさえありますし、近所に買い物に行く程度ならもはや財布を持っていません。


 何故そんな話をするかというと、僕の場合は謝礼も電子マネーで受け取った方が生活への反映が早いということを言いたいのです。そのような事情でレッスンの謝礼はむしろ電子マネーでいただいていることが多いです。遠方からオンラインでレッスンを受けに来てくださっている方々にとっても、この方式の方が手間もかかりにくいでしょう。それこそ結果的に、感染症拡大防止の観点からは直接現金をやり取りするよりも好ましい方法でしょうし、見方によってはさりげなくwin-winだと思うのです。


 もちろん決して、マナーとして「新札を綺麗な封筒に入れて渡す」ということをバカにしているわけではありません。榎本が「新札じゃなくていい」「封筒は無くていい」「電子マネーがいい」という考えを持っているだけであって、他の音楽家もそのような立場であると考えてしまうと無益な諍いが起こりかねませんので、そこはローカルルールを判断していただきたいと思います。


 新札・封筒を好ましいと思うならば、そのように表明しておいた方がこれから演奏やレッスンを依頼してくる方々にも親切というものでしょう。僕も依頼を受ける際には、謝礼の支払い方も込みで説明しています(それまでに電子マネーを使ってこなかった方々もいらっしゃいますし)。この一手間こそが住み分けのカギではないかと思います。

閲覧数:1,020回0件のコメント

댓글


bottom of page