ご覧の通り、演奏会は次々に自粛となっています。それこそ当初予想されていた段階から全く自粛は止まる勢いを見せていないどころか、どうにか対策をして決行を試みようものならば槍玉に挙げられる空気まで生まれつつあります。芸術に対する大衆の価値観が残酷にも露わになり、それに心を痛める芸術家たちもちらほらいて僕も精神的にしんどいのですが、さておき。
Zoomを使ったオンラインレッスンに参入します!
こんな事態になるとは思わず高校の非常勤講師を辞めてしまったし、演奏会も吹き飛びそうだし、合唱関係の仕事はもっと吹き飛びそうだし、このままでは無収入です。音楽家の職場たるホールやサロンも使えず、さらには音楽教室でも感染が出てしまったとなると、音楽家のみならず音楽を学びたい人についてさえもその機会を失ってしまいます。このことは経済面のみに止まらない打撃を音楽界に与えるでしょう。加えて、学校の休校が延期されるということはただでさえ少ない音楽の時間が余計に減るということです。子供たちにとってもそれは不利益です。
オンラインであることは、音楽をやるにあたっては到底良いと言えるものではありません。音楽が空間に存在する芸術であることを考えれば、画面越しに伝えられるものは非常に限られたものになります。ピアノのレッスンでも合唱のアンサンブルでも、オンラインは生身に敵わないでしょう。今がそういう音楽的こだわりを追求している場合でないと言われればぐうの音も出ないですが。
ところがここで思い当たりました。演奏のことをオンラインでやり取りすることの葛藤は拭えないけれども、楽理のことならばオンラインでもあまり情報を失うこと無く指導することができるのではないか。
つまり、ピアノや合唱ではなく、ソルフェージュや座学(音楽理論や音楽史、作品研究など)ならばオンラインレッスンができるのではないかということです。和声学を教えていた経験もありますし、楽曲分析はたまにTwitterのネタにしていますし、階名唱で合唱の譜読みをする試みも始めたところです。演奏ではなく、これらの勉強をしたい人も一定数いるのではないか?と思うのです。
そういえば普段も、実技が偏重されがちな風潮に疑問を抱いていたのでした。絶対音感で耳コピした異名同音がめちゃくちゃな楽譜を「譜読みの練習になる」などと音楽家が評価する、「音楽のことが分からなくても演奏ができればいいじゃないか!」と音楽家が主張する、ラフマニノフなんかをバリバリ弾くような音大生が簡単なコードネームすら読めない、導音の概念を音大生が知らない…みたいな例も見てきました。
もちろん知識偏重になるのも良くはないのですけれども、そこは実技偏重を押し返す形なのでバランスも取れるのではないかと安易に考えています。僕の教え方もそうならないように気を付けてはいますし。
というわけでラインナップ。
【音楽理論】
音楽の基礎的な仕組み、楽譜の読み方から、和声法、楽式論など指導します。要するに「音楽ってどんなふうに出来ているの?」ということに関心がある人向け。特に音楽を専門的に勉強したいとかでもなく、ただ興味本位で知りたいというのも全然アリだと思います。
【ソルフェージュ】
音楽の仕組みを体感で理解します。勉強半分、実技半分みたいな感じ。階名唱で譜読みする方法なども教えますし、新曲視唱なんかもできるかも。音感とかリズム感とかを強化したい人向け。演奏に活きます。
【楽曲分析】
曲の分析方法を指導したり、曲の仕組みを解説したりします。「今読んでいる曲がどうにもよくわからない…」と悩んでいる方は、解説しますのでその曲ごとぶん投げてください。譜読みが捗るようになります。
【音楽史】
西洋音楽史をざっくりと勉強したい人、特定の作曲家について知りたい人向け…と言っても、僕にもよく知っている/あまりよく知らない作曲家・時代もありますので、ちょっとものによるのでご相談ください。ものによっては僕より詳しい友人にぶん投げます。
【ピアノレッスン】※
実を言うとオンラインではあんまりやりたくないです。こちらが判断できることも指導できることも機材環境によって制限されてくるので、技術習得には向かないです。僕の場合は普段から楽曲分析のアプローチで演奏を作っているので、そういう面で勉強したい方はどうぞ。
ここから下は普段通りのお仕事。
【浄書】
手書きの楽譜をFinaleで浄書します。
【編曲】
歌でも器楽でも編曲を引き受けます。自粛で大人数でアンサンブルも出来ないし、自分一人で楽しめるものでも欲しい…などありましたら提供させていただきます。
【作曲】
合唱曲でもピアノ曲でもBGMでも作ります。
【伴奏】
え? 要る? 今伴奏必要な人いる???
というわけで、お仕事をください。
音楽家たちにとって、この状況は音楽家人生最大規模の試練かもしれません。もしかすると廃業を余儀なくされる人もこれから出てくるかもしれません(僕も他人事ではなく)。
ですが、こうやって社会から音楽を「不要不急」と切り捨てられるのは、本当に本当に本当に悔しいのです。音楽家たちが助けてほしいと声を上げたときに浴びせられた罵詈雑言の数々を、今後の人生で1秒たりとも忘れることは無いでしょう。なんとしてでもこの苦難を生き抜き、再び舞台に上がることこそが僕らに残された道です。
僕たち音楽家は、必ずや人類の文化の力となりましょう。僕たちを生かしてください。
(榎本へのご連絡はContactページより受け付けております)
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