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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【雑記】オンラインレッスン3ヶ月目 ~聴音動画はじめました~


 コロナ自粛で6月末までの演奏本番は全て中止や延期となり、そこから合唱伴奏の収入も失くなってしまったことを切っ掛けに細々と試行してきたオンラインレッスン。早くも6月に突入しました。


 もちろん演奏家としてコンサートを開いてお金をいただけるのは嬉しいことですし、できるならそれに越したことはありません。しかし、自分が勉強して考えてきた色々なことを提供し、音楽に興味のある人たちに役立ててもらえるならば、それも一つの音楽界への貢献のやり方でありましょう。それでお金がいただけるならなお良しです。


 そのような考えで、オンラインでも支障が少ないであろう座学系音楽レッスンを展開してきていますが、現時点で一体どんなことをやっているのか、それぞれざっくりと書いていこうと思います。


 

和声法


 音楽における和声(ハーモニー)にまつわる勉強です。ピアノでも合唱でもオーケストラでもよいので想像していただきたいのですが、同時に響く複数の音によって形成される和音が、どのように連なって音楽的文脈・音楽的論理を作っていくかということを探求する学問を指します。作曲や楽曲分析にも繋がりますね。


 僕の周りだとピアノを弾く人や合唱をする人が多いと思いますが、曲を演奏すべく楽譜に向かった時に、様々な情感を持つ和音が次々に繋がって音楽になっていることに気付くと思います。その和音がどのように作られ、それらの和音がどのように繋げられ、結果どのような音楽になっているかということを読み取る能力が身に付きます。


 和声法の勉強を最も必要とするのは作曲をやろうとする人たちでしょう。事実、和声法は音楽学校の作曲科や楽理科を受験する時点で理解していなければならないものですし、また演奏科の音大生でも音大入学後には必修科目として取り組まねばならない学問です。この単位が取れなければ卒業できません。たまに言及していますが、僕は大学院時代にこの和声法のシニアTAを務め、学生たちの補習を担当しておりました。演奏家目線で和声を教えられる…と自負しております。


 和声課題を解くための和声の勉強になってしまうのも良くないでしょうし、教科書を鵜呑みにして発想が硬直化するのも避けるべく、実例を挙げながら進めています。オンラインだと用意した資料をパッと画面に映せるのがいいですね。


 ちなみに最近リクエストにもお応えしまして、コードネームも勉強できるようにしました。コード奏や伴奏付けなんかもやってみたい方はどうぞ。


 

楽曲分析


 その楽曲がどのような音楽的意図を持ち、音楽的効果を狙い、どのように形作られているかを解き明かしていく勉強をします。楽曲を解剖して解釈していくようなイメージです。


 特に決まった形式に沿ったものではなく、一人一人の要望に合わせたレベルと内容で、リクエストされた曲の分析をやっています。ガッツリ榎本の意見を聞きたいという方にも、楽典の知識は少ないけれどざっくりとだけでも知りたいという方にも、はたまた聴き専だけど興味があるという方にも対応します。『名曲探偵アマデウス』みたいなことを一対一でやっていると思っていただければと。一般によく知られて何の変哲もないと思われている曲でも、分析してみると案外面白いことをやっていたりするものです。


 なお、和声法と組み合わせて受講してくださっている方もいらっしゃいます。


 

階名唱


 自粛のために合唱練習ができなくて、しかも自分の力では音が取れない…という方々の手助けになればとレッスンを始めました。いわゆる移動ドと呼ばれるものですが、僕は階名(⇔音名)と呼び分けることにこだわりたいところです。


 旋律を歌えるようになるためには、一つ一つの音の絶対音高を体に刷り込むよりも音同士の相対的距離(音程)を取れるようにしてしまえばよいのです。その読み方と実践とを行っていきます。ちなみに階名唱を学んでおくと楽典を体感的に理解できるので後々の勉強が楽になるということもありますし、調号の多い楽譜も怖くなくなると思います。


 ソルフェージュですから、本当なら対面で一緒に歌って、たまにはハモったりしてみるのがベストなのでしょうが、この状況下ではどうしてもリスクを伴ってしまいますし、階名で “歌う” ことが柱ですから、恐る恐る対面でやるよりはオンラインでバリバリ歌った方がよいのでしょう。


 そういえば、自粛解除後も公共施設での歌唱禁止が言い渡される例も少なくないと聞きます。みんなで集まって音取りということもまだしばらくはできないでしょうし、今のうちに階名唱によって音取り能力を向上しておくことが後々良い効果を生むかもしれません。


 

聴音(←New!!)


 聴音とは、聴いた音楽を楽譜に書き起こすこと…だとだけ思われていそうですが、聴いた音楽をその場で階名で歌ったりするのも聴音です。ご希望があればどちらも扱えます。


 いわゆる “耳コピ” と一般に呼ばれるものですが、音大受験には必須の科目でもあります。簡単なものから難しいものまで対応しようと思います。予め音源を作成してPCから音源を流せばオンラインのタイムラグ云々は大丈夫そうだと判明してきましたし。


 というわけで先日、僕のYouTubeチャンネルで聴音動画の投稿を始めました。ぶっちゃけこの活動に対して投げ銭(寄附)があったら財政的には非常に嬉しいですが、基本的に誰でも無料で利用できるようにしています。自粛期間中で聴音の訓練が滞った方もいらっしゃることでしょうし。


 YouTubeに投稿された僕の聴音動画を使って聴音の練習をするだけなら別に何の報告もなく利用してくださって構いません。これがレッスンの形で聴音をする場合、ただの聴音のみならず、どうすれば聴いた音楽を捉えられるようになるかというソルフェージュ訓練がセットになります。聴音をやって正誤判定するだけのやりとりをレッスンとは呼ばないと思いますし(だから動画は無料公開した)、聴音からアプローチするソルフェージュのレッスンにしようと思っています。


 ちなみに現時点で公開されている動画と問題ストックは「作るのが楽」という理由で和声聴音ばかりですが、リクエスト次第では様々な難易度の旋律聴音、対位聴音、リズム聴音なども作っていきます。定期更新はできないと思いますけれども… なお、ピアノ音源版と弦楽合奏音源版を作ったので聴きやすい方で挑戦してみてください。




 

楽典


 楽典とは、音楽を楽譜に記す方法や楽譜から音楽を読み取る方法を学ぶ、言わば音楽をやる上での基礎的な能力…ではあるのですが、これがまた実はかなり奥が深い科目でして、ざっくり「そういうものだ」と説明してしまえば基礎であるかのように見えながら、厳密に考えるほど極めて難しくなっていきます。個人的にはこの厳密な視点を無視したくないので、恐ろしくまわりくどい内容になりそうな予感です。


 とりあえず現時点では準備中としておいて、自分の合唱団を実験台にして試行錯誤してからリリースしようかと思っています。先に述べてきた科目の基礎になるものの説明が一番大変なんですよ…


 

 というわけで、今のところはこれらのレッスンを1コマ1時間、毎回3,000円を基準に展開しています。実はこれは自粛期間料金なので、元値に戻すタイミングを見計らっているのですが、レッスンを受けに来てくれる人たちも自粛で困窮した面があるので来月くらいまではこのままかな~などと思っています。


 ピアノは対面の方がいいと考えているのでオンラインには消極的(しかし頼まれたらレッスンする所存)、あとは対位法と音楽史には単純に手がまわっていないというのが現状です(後々始めるかもしれません)。


 一応、自分なりに需要のありそうなものを考えて開講しているつもりなのですが、もしも「こんなこともレッスンしてほしい!」などというご要望がありましたら、当ホームページ内の Contactページ よりご連絡いただけると幸いです。“知りたいと思う人の視点” からの気付きは、レッスン内容をより良くしていく可能性も内包するものですから。

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