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  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【楽譜販売】『混声四部合唱のためのハーモニー・エチュード第2巻 短調による99の練習曲』


 先日制作を始めたシリーズ『混声四部合唱のためのハーモニー・エチュード』の第2巻が完成しまして、販売も開始致しましたのでここで報告させていただきます。




 本シリーズは、単純なカデンツから小品サイズまでの様々な課題を階名で読んで歌うことによって、実践を通して調性における音程や力性を習得する教本・練習課題集です。混声四部合唱の日々の練習のソルフェージュ面でのウォームアップやレベルアップに用いていただくことを想定していますが、どうやら既刊である第1巻は合唱団員のみならず鍵盤楽器を弾く方が読譜や和声感覚の習得する教材としても用いられているようです。また、混声合唱でなくとも移調をしたりオクターヴ変えたりすることによって女声合唱・男声合唱でもお使いいただけます。


 第1巻は長調に焦点を絞って99曲の課題を書き下ろしましたが、第2巻では短調による課題を99曲収録しています。第2巻においても基本的な方針や構造は第1巻を踏襲していますが、第1巻よりさらに発展的な内容が含まれているため、その部分について説明を書いておきます。


 当課題曲集は五線譜の形で書かれており、新たな練習要素が加わる度に音符の上に階名を振ってあります。「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・ティ」をそれぞれ "d, r, m, f, s, l, t" と頭文字で表示しました。ここまでは第1巻と同様ですが、第2巻では短調を扱うため、導音 "si" をはじめとした変位音のシラブルも複数登場します。変位音のシラブルについては、本書冒頭に取扱説明を載せてありますので、そちらをご参照ください。


 本シリーズでは合唱団員の皆様が様々な楽譜に馴染むことが出来るよう、現在一般的な音部記号の譜表のみならず、ハ音記号も含めた譜表を採用しています。さらに第2巻では、お馴染みのト音記号・ヘ音記号も五線譜上を上下します。このことだけを聞くと怖じ気づいてしまいそうですが、本書冒頭に掲載した階名の読み取り方に従って楽譜を読めば、いずれの音部記号・譜表が出てきたとしても対応が可能です。馴染みの無い形態の楽譜を読むことにも果敢に挑戦していただきたいと思います。


 これも本シリーズ共通の方針ですが、あくまでも階名認識による実践体験を通しての感覚的習得を重要視しているため、敢えて和声法の用語は殆ど表記しないことにしております。第2巻にはドリア、ナポリ、ピカルディなどといった特徴的かつ実際の音楽作品にも頻出する和音・和声進行が登場しますが、どの和音がそれらの名称であるかを書きませんでした。具体的な名称については、歌う体験を経てから座学で学んでも全く遅くないばかりか、「経験的に知っていたものに後から名称がついて整理される」という定着が行われます。まずは理屈の名称は気にせず歌っていただきたいと思います。


 第2巻で採用した調は♭7つの変イ短調から♯7つの嬰イ短調に及びます。嬰イ短調なんて調が存在するのかと思われそうですが、使用例が稀少なわけでもない嬰ハ長調の視点から見れば嬰イ短調は平行短調であるわけですから、これが決して出現しないものではないことがお分かりになるでしょう。


 予め言うと、第2巻の課題のうち、No.98の調は嬰イ短調、No.99の調は変イ短調です。固定ド感覚にとっては最も苛酷な調かもしれませんが、階名感覚にとっては何の変哲も無い、音域的にも楽かもしれない調です。第1巻と第2巻を経てきてどのように感覚が養われたかを試す課題と捉えていただけるとよいと思います。


 第1巻と第2巻は順番に出しましたが、それはあくまでも「まとめると制作に時間がかかりそうだから」という完全に榎本の手元の労力と時間の都合によったものでして音楽的理由ではなく、取り組みとしては第1巻と第2巻を同時進行でやっていただくのがよいと思います。合計198曲をこなしながら第3巻「変位音編」の完成をお待ちください(次巻宣伝)

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