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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】『古典派のやさしいソナタ』:ソナタ形式が作り出すもの


 世間はオミクロン株の今後に注視している頃合いかと思われます。まだ症例が少なく、感染力と症状の重さがわかりきっていないことを考えると、現時点では水際対策によって物理的に防ぎ続けるのが最短であろうとは素人考えでも思うところです。


 さて、規模はわからないまでも必ず来るであろうと言われる新型コロナの第6波が到来する前にいくらかできる限りのコンサートをやっておこうと思いまして、12月~1月は趣向の異なるソロ企画を2つ用意致しました。12月の方、『重ねる音楽 ─ 重なる音楽』はそちらの詳細記事をご覧いただきたいです。



2022年1月22日(土)

14:00開場 14:30開演

15:40頃終演予定


『古典派のやさしいソナタ』


会場:スペース&カフェ モントン

最寄り駅:京浜急行「馬堀海岸」


入場料 3,000円 学生以下 2,000円


予約・問い合わせ

当ホームページCONTACTより


〔プログラム〕

ハイドン《ピアノソナタ》Hob.XVI:35

モーツァルト《ピアノソナタ》KV 545

ベートーヴェン《2つのやさしいソナタ》Op.49

(ピアノソナタ第19番&第20番)

ベートーヴェン《ピアノソナタ 第25番》Op.79

「やさしいソナタ(ソナチネ)」


 

 今回のプログラムは、演奏時間10分ほどの小規模なピアノソナタ5曲です。具体的なものを描くような音楽ではなく、どれもソナタだと言われても難しそう…と感じてしまう方々もいらっしゃると思います。言葉が付いているわけではなく、その代わりに「形式」が音楽を形成しているような類いの音楽ですので、その形式を掴むことが観賞のカギになってきます。


 そのために義務教育の音楽などで「三部形式」だの「ソナタ形式」だのというものを学ぶことになるわけですが、知識として覚えた記憶はあっても、それがどのように音楽に作用しているのかを実感する機会は日常では少ないかもしれません。そもそもなぜ「形式」などというものが考えられているのかを不思議に思う人がいたとしても、無理はないだろうと思います。


 この企画に関しては、僕の企画としては珍しくシンプルな作品を連ねた路線のものとなっています。ウィーン古典派と呼ばれるハイドン(Franz Joseph Haydn, 1732-1809)、モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)、ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)は、それぞれに簡潔なものから難解なものまで、様々なソナタを書きました。その中でも最も簡潔なソナタを集めたのが今回のプログラムとなっております。


 本当にただ弾くだけならば小学生でもできるかもしれません。きっとピアノを習ったことのある人の多くがこれらの曲を弾いた経験があるでしょう。現にいくつかの曲は僕も中学生の時に弾きました。さすがに当時からソナタやロンドという形式は知っていましたし、それが変則的に形を変えたりすることも気付いてはいましたが、そのような形式がどのように音楽表現に作用するかということにまで意識が向くようになったのは後になってからのことです。


 初心者でも弾けてしまう曲であっても、色々な音楽を経験してから振り返ってみると面白い発見があるものです。僕個人の中ではそのような意味を含んでいることもまた事実でしょう。その一方で、このプログラムは演奏の粗が即座に露呈する恐ろしいものであるという事実に気付いている人も少なくはないであろうと思っています(笑)


 ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンが遺した「やさしいソナタ」たちを通して、ソナタという形式が獲得した "音によるドラマ性" を浮き彫りにし、特に彼らが追究したソナタの美学の一端に触れられる機会にしたい…というのが今回のコンサートの目標です。ソナタやロンドといった形式による音楽展開を掴めるようになることは、クラシックの音楽を観賞していく上で役立つと思います。「楽曲形式からのクラシック入門」みたいなものだと考えていただいて構いません。


 

 個人的には元々ハイドンもベートーヴェンも好きな作曲家でして、モーツァルトについても大学院を出た後からその革新性に注目するようになりました。今や3人とも改めて大きな存在となっています。


 彼らは実はかなり複雑な音楽を書くことができる凄腕の作曲家たちです。容赦の無い作品も多々あります。そんな彼らが何故か、小学生にさえ弾けそうな作品を書いていて、しかもそれが意図的なものとさえ認められるのです。彼らが何を望んでこれらの作品を書いたのかを想像しながら聴いてみるのもよいと思います。


 ご予約は当ホームページのCONTACTから送信することができます。定員制限のため要予約となっておりますのでご協力ください。


 年明けの感染状況や第6波も気掛かりですが、無事に開催できることを僕も祈ります。どうぞ、よろしくお願いします。

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