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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】赤木恭平 & 榎本智史 『深淵なる重低音の世界』【2023年6月17日】


 4月はバロック時代のオペラを多数お届けしましたが、次は6月に19世紀ロマン派の情念渦巻く歌曲、オペラ、ピアノ曲をお届けします。



2023年6月17日(土)

14:00開場 14:30開演


赤木恭平 & 榎本智史

『深淵なる重低音の世界』


会場

ソフィアザール・サロン

JR駒込駅より徒歩5分

東京都北区中里1-26-10


入場料

全席自由 3,000円


予約申し込みメール

当ホームページ内CONTACTからも可


プログラム

 バスの低い声がもつ独特の性質や演奏効果が活かされたオペラアリアや歌曲を集めました。バスとピアノによる重低音クラシックの世界をお楽しみください。


モーツァルト《魔笛》より「この聖なる殿堂では」

モーツァルト《アダージョ ロ短調》KV540 🎹

ヴォルフ《アルバムブラット》 🎹

ヴォルフ《ミケランジェロの詩による3つの歌曲》

ヴェルディ《ワルツ ヘ長調》🎹

カゼッラ《悲しき子守唄》Op.14 🎹

ヴェルディ《ドン・カルロ》より「ひとり寂しく眠ろう」

ほか

(🎹印はピアノソロ)


 

 今回共演するのはバス歌手の赤木恭平さんです。実はコンクールやオーディション、クローズドなコンサートは今までに何度もやっていて、付き合いもそれなりに長いのですが、この2人だけでコンサートを開催するのは初めてだったりします。


 僕は殆どの自主企画の場合はテーマを設定してプログラムを組み立てるので、あまり「名曲集」的なプログラムを組みません。ところが今回は曲目だけ見ると、どちらかと言えば名曲集的なプログラムに寄っています。


 それはそもそも今回の編成に起因します。バスという声種の中でも特に低い声をもつ赤木さんのレパートリーはかなり特定のものに絞られます。音楽史的あるいは音楽理論的なテーマを最初に設定したら、それは大きな束縛として作用するでしょう。それよりはもっとシンプルに、バスの重低音が響く作品が集まって「バスという声そのものが描く世界」に焦点を当てた方が、結果的に貫徹されるテーマが浮き彫りになるはずです。


 超低声のもつ懐の深さ、その反対側で渦巻く情念の深さといったものを味わっていただきたいと思います。オペラアリアはモーツァルトとヴェルディのオペラからのピックアップでお送りします。特にヴェルディのオペラには鬼気迫る演奏効果の高いバスのアリアが揃っていまして、バスの魅力を存分に堪能できると思います。


 そしてその間にはドイツの誇る狂気系歌曲作曲家ヴォルフが最後に遺した《ミケランジェロの詩による3つの歌曲》をお送りします。ミケランジェロは彫刻家ミケランジェロその人のことです。確かにミケランジェロの本業は彫刻でしたが実は詩作も行っていまして、その激しい情感は19世紀末のロマン派音楽にさえフィットするものでした。ヴォルフは「彫刻家なら声はバスだろう」というイメージでバスのための歌曲に仕立て上げたようですが、バスどころかピアノにまでも分厚い和音が響く重厚な音楽となっています。学生時代からこの曲が好きで、かなり前に赤木さんに薦めたことがあったのですが、彼がそれをずっと覚えていたために今回プログラム入りを果たしました。


 また、アリアや歌曲にあわせたピアノソロ作品も複数セレクトしました。


 モーツァルトの《アダージョ ロ短調》KV540は、明るく軽快なモーツァルトの一般的なイメージからかなり離れた陰鬱とした性格を持つ小品(ソナタ形式)です。ロ短調を主調に設定したモーツァルトの作品はほぼこの一曲だけではないでしょうか(違っていたらごめんなさい)。半音階進行や減七の和音が支配的に響く不吉な音楽となっています。


 ヴォルフの《アルバムブラット》は短く優美な小品です。ヴォルフの音楽らしいロマンティックな書法は残りつつも、大袈裟な感じは無いささやかな小品となります。ヴォルフは専ら歌曲が演奏される作曲家ですから、ピアノ作品の上演は少し貴重かもしれません。


 ヴェルディの《ワルツ ヘ長調》は、ヴェルディのたった2作しかないピアノ曲のうちの片方です(ちなみにもう片方はいつぞやに僕がコンサートでも弾いた《ロマンス ヘ長調》です)。ヴィスコンティの映画『山猫』の舞踏会シーンで、ニーノ・ロータの編曲によって用いられました。未出版だった自筆譜をヴィスコンティが所持していてロータに編曲を頼んだという話も驚きではありますが、実際に弾いてみるとこれはピアノのための音楽というよりも後でオペラに使うはずだったワルツのスケッチであるようにも思えてきます。ともあれ、後半のヴェルディステージにはうってつけの軽妙なワルツです。


 そしてピアノソロ最後の曲として、20世紀イタリアの作曲家カゼッラの初期の小品《悲しき子守唄》Op.14を弾きます。持続する低音を特徴とするミステリアスな音楽でして、ヴェルディと時代は異なるものの、深淵に沈んでいくような情景を用意できると思います。


 

 上に載せたラインナップ以外にもモーツァルトとヴェルディのオペラアリアを用意してお待ちしております。深淵から響く歌とピアノをお楽しみください。


 ご予約はメールで info@virtuoso3104.com 、あるいは当ホームページ内のCONTACTからどうぞ。 

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