すっかり忙しさや疲労にかまけてブログ記事の更新をほったらかしにしていました。気が付けば年末です。「気が付けば」などと言いつつも、正直な体感としては2024年はいつにも増して長く感じられました。それは音楽や公演の充実度という要因のみならず、日常生活上の事件も多々あったからであるという理由も挙げられるでしょう。
以前に報告した通り、今年は祖父が亡くなりました。90代後半まで生きたのですから大往生でしょう。最期の方は頻繁な介護も必要となり、ろくに介護を手伝わない引き籠りの弟や学業と仕事の忙しい末弟の穴埋めを僕が横浜から頻繁に帰ることで補っていましたが、とうとう春には横浜から横須賀の実家の近くに引っ越して介護を続けました。そこから半年くらいはまだ生きる前提で考えていたところ、僕が横須賀に戻ってからたった1ヶ月で亡くなりましたので、引っ越しを決断するタイミングをかなりミスった気がしないでもないのですが、まあ後から何を考えても仕方ありません。
とりあえず、今は残った手続きなどを父に丸投げし、実家の祖父の部屋や持ち物を片付けつつ、実家の近くを拠点にして活動しています。実家にいるとやはり相変わらず引き籠りの弟からの地味な嫌がらせは受けますのでそれを回避しながら作業をしていますが、病気を拾って体調を大きく崩した時にすぐに実家の支援を受けられるようになったのは大きな利点でした。
祖父の葬儀を終えて本番を2つ乗り切った直後には初めて新型コロナに罹り、肺炎は免れたものの症状は比較的重く、仕事をいくつも飛ばし、本番を複数降板しました。熱が下がっても1ヶ月あまりの間は咳が止まらないという状況を経験しました。なお、今月も同じような症状の軽いものに罹ってしまい、未だに少し咳き込んでおります。
2024年の本番を振り返ります。実際にはガラコンサートの伴奏で1枠だけ出たというものや試験やオーディションの伴奏、非公開のコンサートなどもあるのですが、基本的には記録に値するインパクトのあった公開のものを、曲目込みで書き出していきます。
1/27
フェスタとらいあんぐる
合唱団DIOとして出演。
♪ジョスカン・デ・プレ《El Grillo》
♪ヨルシカ《ただ君に晴れ》編曲:アベタカヒロ
2/4
コーラルフェストかわさき
合唱集団EARTHの伴奏。
♪上田真樹『夢の意味』より《夢の意味》《夢の名残》
2/12
バレンタインコンサート
KI企画への出演。
♪カウエル《富士山の白雪》
♪ベートーヴェン《ピアノソナタ第24番》
♪榎本智史《初恋》
3/9
私的演奏協会Vol.1
自主企画。
♪シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11
4/27
私的演奏協会Vol.2
自主企画。
♪ベルク《ピアノソナタ》Op.1
5/12
湘南合唱祭
合唱団DIO、青唱ユースクワイアとして参加。
♪ランディーニ《Ecco la primavera》
♪坂本龍一《Cantus Omnibus Unus》
♪高田三郎『水のいのち』より《海よ》
♪信長貴富『くちびるに歌を』より《くちびるに歌を》
♪松下耕《ほらね》
5/25-26
おとなつこん
KI企画への出演。自作だけ伴奏ではなく歌唱。
♪モーツァルト《Exsultate, jubilate》KV165
♪カゼッラ《トレチェントの3つの歌》
♪千原英喜《良寛の二つの歌》
♪榎本智史《初恋》
♪ベルク《ピアノソナタ》Op.1
♪ベルク《7つの初期の歌》
♪千原英喜『みやこわすれ』より《みやこわすれ》
6/15
クラシックを辿る道
地元町内会主催公演。
♪瀧廉太郎《メヌエット》
♪ジョスカン・デ・プレ《Mille regretz》
♪J.S.バッハ《ゴルトベルク変奏曲》よりアリア
♪ベートーヴェン《エリーゼのために》
♪シューマン=C.シューマン《献呈》
♪リスト《5つのピアノ曲》より「V. 溜め息」
♪シェーンベルク《5つのピアノ曲》Op.23より「V. ワルツ」
♪坂本龍一《Aqua》
6/23
ミューザ川崎合唱祭
合唱集団EARTHの伴奏。
♪上田真樹『夢の意味』より《川沿いの道にて》《歩いて》
7/15
私的演奏協会Vol.3
自主企画。
♪ハウアー《余韻研究》Op.16
♪シェーンベルク《6つのピアノ小品》Op.19
8/31
ことうたこん
KI企画への出演。
♪アザラシヴィリ《無言歌》
♪幸田延《ヴァイオリンソナタ ニ短調》
♪大中寅二《椰子の実》合唱編曲:榎本
9/8
私的演奏協会Vol.4
自主企画。
♪ヴェーベルン《子供のための小品》
♪ヴェーベルン《ピアノのための変奏曲》Op.27
9/28
副次的文化系歌曲祭
三輪えり花先生の伴奏。
♪後藤浩明《シェイクスピア、誰?》
♪三輪えり花《作者のシェイクスピア》
10/6
合唱集団EARTH演奏会
伴奏、一部歌唱。
♪上田真樹『夢の意味』
♪上田真樹《酒頌》
♪佐藤眞『土の歌』より《大地讃頌》
10/14
言の葉と巡る旅 アカペラ合唱祭
合唱団DIOとして参加。
♪ダンスタブル《Quam pulchra es》
♪バード《Mass for 3 voices》より Sanctus, Benedictus
♪坂本龍一《Cantus Omnibus Unus》
10/19
榎本智史ピアノリサイタル
十二音の色彩 ~シェーンベルク生誕150年によせて~
自主企画リサイタル。
♪シェーンベルク《ピアノ曲》Op.33a
♪ベルク《ピアノソナタ》Op.1
♪シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11
♪ハウアー《余韻研究》Op.16
♪シェーンベルク《6つのピアノ小品》Op.19
♪ヴェーベルン《子供のための小品》
♪ハウアー《1946年のクリスマスの十二音遊戯》
♪シェーンベルク《5つのピアノ曲》Op.23より「V. ワルツ」
♪ヴェーベルン《ピアノのための変奏曲》Op.27
♪シェーンベルク《ピアノのための組曲》Op.25
♪オブーホフ《互いに愛し合いましょう》
11/3
よこすか合唱の集い
横須賀国際合唱団の伴奏。
♪J.L. Cook《Time》
♪L.Dubinsky《We rise again》
12/18
KMA Proms
国立音楽院の学園祭コンサートでの伴奏。
♪ベルク《4つの歌曲》Op.2
12/22
クール・ブリラン創立50周年演奏会
合唱のエキストラ。
♪信長貴富《ヴィヴァルディが見た日本の四季》
♪なかにしあかね《今日もひとつ》
やはり今年特に大きかったのはシェーンベルクの生誕150年にちなんだソロリサイタルを企画開催したことでしょうか。20世紀の作品だけで1時間半超のプログラムを組み全部独りだけで演奏するというのはもはや大学院の修士演奏の時よりも苛酷であったと思います。これまでにも単発で《月に憑かれたピエロ》や《架空庭園の書》を演奏する機会がありましたが、言わば今年のリサイタルこそが僕の大学院修了以来取り組んできた課題に対する現時点での回答であります。ようやく一区切りですね。
僕はどうしても「こういう曲をやれば売れる」などというよりは「こういう音楽が演奏されることが大事だ」という行動指針で動きたい人間ですので、来年以降はシェーンベルクら以外にも範囲を広げてまた様々な音楽を演奏していきたいと思います。
また今後も、BOOTHで楽譜を販売したり、伴奏やレッスンを引き受けたりということは続けていきます。単発レッスンも受け付けておりますので、「シェーンベルクってどう読むの?」「合唱曲の音が取れないんだけど!」といったお悩みもお気軽にご相談ください。可能な限り力になります。
喪中のため、新年の挨拶は控えさせていただきますが、2025年もどうぞよろしくお願いします。
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