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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏告知】私的演奏協会Vol.4『ヴェーベルン』【2024.9.8】

更新日:7月31日


2024年9月8日(日)

① 13:45開場 14:00開演

② 15:15開場 15:30開演


私的演奏協会Vol.4『ヴェーベルン』


会場

空音舎

東京都大田区南六郷2-5-10サンアイランド102

京浜急行「雑色」より徒歩


入場無料(投げ銭歓迎)


曲目

ヴェーベルン

《子供のための小品》

《ピアノのための変奏曲》Op.27


演奏・解説

榎本智史


予約申込

メールアドレス

または当ホームページCONTACTフォームより



 

 特定の作品に焦点を当て、ガイド付きで繰り返し聴くことによって耳を馴染ませてゆく演奏企画『私的演奏協会』シリーズのVol.4では、いよいよヴェーベルンを取り上げます。


 ベルクと並ぶシェーンベルクの高弟であるヴェーベルンは、短くも緊張感のある構造をもつ音楽を創作しました。十二音技法に調性を色濃く残そうと試みたベルクと頻繁に対比され、徹底的な音列操作によって調性を排した音楽を目指したと説明されることが多いかもしれません。


 しかし彼の楽譜を見てみると、表現のための詳細な発想標語や指示が多数書き込まれていることを発見できます。accel.とrit.の頻繁な交代はもちろんのこと、遂には楽譜上では殆ど断片のようにしか見えないメロディにさえcantabileを要求したと伝えられております。


 僕の中では、ヴェーベルンは理論ばかりの冷たい作曲家ではなく、熱い刹那の表現力を十二音技法によって表出した作曲家であると考えております。どのあたりがどのように熱い音楽であるのか、それを聴取体験しに来ていただきたいと思います。


 

 ヴェーベルンの知られているピアノ独奏作品は多くありません。作品番号のあるものは《ピアノのための変奏曲》Op.27のみですし、出版されたものを加えても十二音技法で書かれた《子供のための小品》《ピアノのための小品》、調性を残している時期の《ピアノのための楽章》《ピアノのためのロンド楽章》(この2作は一つのピアノソナタを構成する楽章であった可能性がある)に留まります。習作扱いのピアノ小品群もあるにはあるようですが未出版です。


 今回はやはり重要な作品である《ピアノのための変奏曲》Op.27をメインに据え、その導入として《子供のための小品》も併せる形で取り扱いたいと思います。ヴェーベルンはこの《ピアノのための変奏曲》の初演に際して初演ピアニストであるペーター・シュタトレンに何度もレッスンを行ったようですが、ほぼ音列の分析は話題に挙がらず、絶え間無いルバートや意外なアクセントによる表現力についてのことが作曲者から語られたそうです。


 僕の会でも、音列の分析の話は殆どしないと思います。十二音音列の運用方法も意外と恣意的でして、順序がどうのというだけの話はあまり意味を成しませんし、それよりはヴェーベルンの音楽美学なども紹介しつつ、音楽自体の聴取にも工夫して会を進めるつもりです。


 生演奏に出会える機会がベルクやシェーンベルクに比べて少ないかもしれないヴェーベルンの音楽に出会う機会になってくれれば良いと思います。どうぞよろしくお願いします。

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